核融合炉夏期セミナ ー

2003年(第19回)

第19回「核融合工学部会」夏期セミナーのご案内

主催 核融合工学部会

会期 2003年8月21日(木)〜23日(土)

会場 新潟県 苗場温泉「ホテルムサシ」(新潟県南魚沼郡湯沢町大字三国)

セミナーメインテーマ「核燃焼の展望と利用」

 特に近年の閉じこめ性能の向上に伴い,核融合炉工学の議論に際して,単なる
プラズマ閉じこめ装置ではなく,「核燃焼」として核融合反応を制御し,
さらには積極的に利用・応用するという立場での工学を議論すべき段階に達
している。従来,核融合炉工学は,個々の要素技術の集合体として理解
されることが多かった。しかし,今回のセミナーでは「核融合反応」を生じる
「核燃焼プラズマ」を安定に閉じこめ,エネルギー源・中性子源として利用
するための「核燃焼の展望と利用」という視点から新たにまとめ直したいと考
える。そして,初心者・初学者に向けての体系化された講義とすることを目標
とする。

プログラム

8月21日(木)
15:00 開会式
15:10 セッション1「核燃焼を目指すITER時代の炉工学技術」(原研)高津英幸
16:40 特別セッション1「核融合中性子を利用した高レベル放射性廃棄物の
   核変換の可能性について」(東工大)齊藤正樹
18:30〜20:30 懇親会

8月22日(金)
9:00 セッション2「核燃焼フェーズの炉工学,トカマク以外」
  a.ヘリカル型核融合炉の展望(NIFS)山崎耕造
  b.レーザー核融合炉の展望(阪大)井澤靖和
  c.重イオン慣性核融合炉の展望(東工大)小川雅生
14:30 特別セッション2「慣性静電閉じこめ核融合の基礎と応用」(京大)吉川潔
15:30 セッション3「核燃焼フェーズ特有の要素技術開発・工学の展開(1)」
  a.材料工学(NIFS) 室賀健夫
  b.ブランケット,トリチウム増殖(原研)石塚悦男
  c.第1壁工学,ダイバータ,プラズマ・壁相互作用(京大)高木郁二
19:30 ナイトセッション(若手による研究室紹介)

8月23日(土)
9:00 セッション4「核燃焼フェーズ特有の要素技術開発・工学の展開(2)」
  d.ニュートロニクス,中性子計測と遮蔽,断面積(原研)西谷健夫
  e.システム・安全工学(原研)多田栄介
10:30 セミナー総括(東工大)藤井靖彦
11:00 閉会式

申込方法
1 氏名・性別,宿泊室における喫煙・非喫煙の別,
2 所属・勤務先(学生の場合は学年と研究室も),連絡先(住所,電話,FAX, E-mail), 
3 核融合部会の会員・非会員の別,原子力学会の会員・非会員の別を
明記の上,下記まで。http://www.nr.titech.ac.jp/fess/上に,申し込み用の
ページを作る予定ですので,できるだけそちらからお申し込み下さい。
ホームページの利用できない方に限り,電子メール,Faxにてお申し込み下さい。

申込締切 7月7日(月)

参加費  核融合工学部会員 一般5,000円,学生1,000円
  原子力学会正会員 一般6,000円,学生1,500円
  その他      一般8,000円,学生2,000円

宿泊費(懇親会費,夕食,朝食,22日の昼食を含む)
8/21 12,500円(学生9,000円) 8/22 9,000円(学生8,000円)

申込・問合せ先 東京工業大学原子炉工学研究所内 
第19回核融合夏期セミナー事務局
E-mail: fess@nr.titech.ac.jp FAX 03-5734-3838

報告

「核融合工学部会」主催
第19回「核融合炉」夏期セミナー

2003年8月21日〜8月23日、ホテルムサシ、新潟県南魚沼郡湯沢町大字三国(苗場)

本年度の「核融合炉」夏期セミナーは、核融合反応を生じる核燃焼プラズマを安定に閉じ込め、
エネルギー源・中性子源として利用するための「核燃焼の展望と利用」をテーマに、従来は個々
の要素技術の集合として理解されることの多かった「核融合炉工学」を新たにまとめ直すことを
目的とした。さらに、初心者・初学者向けに体系化された講義を提供し、将来展望について議論
を行うことを旨として開催された。大学院生を中心とした研究者22名、講師、幹事等15名、計
37名の参加者を得、講師の方からの丁寧なご講演と熱心な議論が交わされた。

セミナーの概要

 セッションの構成として、各炉型固有の問題の中で、特に核燃焼フェーズの核融合炉工学から
トピックスを提供して頂き議論を深めるべく(縦の切り口からの視点)、「トカマク」「ヘリカル」
「レーザー」「重イオン慣性」の4つの炉型毎に、初日の最初と2日目の午前に講義を頂いた。

特に、トカマク方式については、ITERの設計研究の進捗を受け、初日の最初の講義として「核燃焼
を目指すITER時代の炉工学技術」と題して、高津英幸氏(原研)から講演を頂いた。次いで、
「ヘリカル」「レーザー」「重イオン慣性」については、2日目午前に各1時間ずつ、それぞれ
山崎耕造氏(NIFS)、井澤靖和氏(阪大)、小川雅生氏(東工大)から講演を頂いた。

 次に、各炉型に共通点の多い個別の要素技術開発において、核燃焼フェーズ特有の技術開発・
工学研究の展開について(横の切り口からの視点)、講義を頂くことを企画した。これらについては、
「材料工学」「ブランケット・トリチウム増殖」「第1壁工学・ダイバータ、プラズマ−壁相互作用」
「ニュートロニクス、中性子計測と遮蔽、断面積」「ITERの構造及び安全上の特徴と安全確保の考え方」
と題して、それぞれ室賀健夫氏(NIFS)、石塚悦男氏(原研)、高木郁二氏(京大)、西谷健夫氏(原研)、
多田栄介氏(原研)から講義を頂いた。これらが、2日目午後後半〜3日目午前にわたり行われた。

 上記に加えて、核燃焼の利用に関する最近のトピックの中から、核融合中性子の利用に的を絞って、
特別セッションを企画した。核変換工学における高いポテンシャルについて、中性子のコスト評価など
も含めての「核融合中性子を利用した高レベル放射性廃棄物の核変換の可能性について」と題して齊藤
正樹氏(東工大)から講義を初日の夕刻に頂いた。また、現時点でも中性子源として高く期待の持たれる
「慣性静電閉じ込め核融合の基礎と応用」について、吉川潔氏(京大)から、2日目の午後前半に講義
を頂いた。

 なお、参加者の相互理解と懇親を深めるべく、初日夜には懇親会を催したが、懇親会終了後も遅くまで、
ベテランから若手に至る研究者、学生の間で、様々に意見交換がなされた。また、2日目の夜には、恒例
の若手セッションが開催された。今年は各学生が所属研究室の研究紹介をするという形で行われ、率直な
意見交換を行うことができた。

本セミナーにおいて、ITERレベルまで既に進行している核融合炉開発研究において、特に核燃焼フェーズ
でクローズアップされるべき事項をまとめることができたと考えられる。また、新たに要素技術としての
開発項目の到達度や、核融合の実用に向けての中性子の役割などが多角的に議論でき、極めて有意義であ
った。最後に、講演等いただいた講師の方、ご支援いただいた核融合工学部会運営委員をはじめとする皆
様に、あらためて御礼申し上げます。


(第19回核融合炉夏期セミナー実行委員会)