核融合炉夏期セミナ ー記録

2000年(第16回)


日本原子力学会 核融合工学部会主催
第16回「核融合炉」夏期セミナー案内

と き: 平成12年7月19日(水)〜21日(金)
ところ: 北海道大学学術交流会館(011-706-2141)
     (及び 大型ライナック研究室会議室:若手ナイトセッ ション)
     札幌市北区北8条西5丁目

1.参加費 、等

  参加費 (運営費、テキスト代等)
  部会員  5,000円  学生部会員  無料
  正会員  7,000円  学生会員   無料
  非会員 10,000円

 宿泊、交通等は旅行業者による紹介を予定いたしております。

2.申し込み方法  (1)氏名、(2)所属・勤務先、(3)連絡先(電 話、Fax、E-mail)を
明記の上、下記迄お申し込み下さい。

3.申し込み締め切り  6月30日(金)

4.申込・問い合わせ先
     〒060-8628 札幌市北区北13条西8丁目
     北海道大学大学院 工学研究科量子エネルギー工学専攻
     エネルギー変換工学分野気付
     「核融合炉」夏期セミナー事務局
      TEL; 011-706-6654,6656
      FAX; 011-706-7128
      E-mail; regist@school.qe.eng.hokudai.ac.jp

 北海道大学については、http://www.hokudai.ac.jp/
 国際学術交流会館については、 http://www.hokudai.ac.jp/bureau/map/map4.htm
 を御参照ください。

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第16回「核融合炉」夏期セミナープログラム

テーマ: 「核融合研究−過去・現在・未来のブレークスルー」

趣旨:2000年紀が始まり、環境に優しいエネルギー資源として その実用化が
   期待されている核融合は、半世紀に亘り、幾多の課題を克服 し、確実に
   研究の果実を実らせ、臨界プラズマ条件を達成するまでに進 んでいる。
   しかし巨大システムとしての核融合の実現には、最先端の科 学技術が
   求められており、エネルギー源として実用化するには、更に 克服すべき
   課題が残されている。
    今回の夏期セミナーでは、これまでの核融合研究の歴史を 振り返る中で、
   先人の成し得たブレークスルーを明らかにすることを主眼と し、
   初心者にも理解できるよう、プラズマ・核融合の基礎講義か ら始め、
   現在の核融合研究の最先端までを取り上げる。
    科学・技術への夢をかき立て、若手研究者に託される課 題、
   期待されるブレークスルーに言及してみたい。

7月19日(水)
『原理と現状』
 13:00 核融合・プラズマ理工学、トカマク核融合炉の原理
         日本原子力研究所 那珂研究所      二 宮 博正 氏
 15:00 ヘリカル核融合炉の原理
         核融合科学研究所            小 森 彰夫 氏
 16:00 慣性核融合炉の原理
         大阪大学レーザー核融合研究センター   西 村 博明 氏

『若手ナイトセッション』
 17:30 各大学の研究紹介、研究者の交流など
       (北海道大学大型ライナック研究室会議室)
        晴天であれば前庭で、バーベキューを予定

7月20日(木)
『研究紹介』 
 9:00  若手による研究室紹介+ナイトセッション報告

『炉工学の体系化と課題』
10:30  ダイバータ工学
         大阪大学工学研究科           西 川 雅弘 氏
11:00  電力システムから見た核融合炉
         東京工業大学原子炉工学研究所      嶋 田 隆一 氏
11:30  水素透過挙動 
 @       京都大学工学研究科           高木 郁二 氏

13:00  JUPITER計画による炉材料研究
         東北大学工学研究科           阿 部 勝憲 氏
13:30  プラズマ実験装置でのPWI
         九州大学応用力学研究所         吉 田 直亮 氏
14:00  ブランケット工学/トリチウム工学
         東京大学工学系研究科          田 中  知 氏

『歴史と夢』
15:00  北大における黎明期の核融合研究
         北海道大学 名誉教授          小 澤 保知 氏
15:30  真空表面の基礎研究から核融合研究に入り25年
         北海道大学 名誉教授
         札幌国際大学人文社会学部        山 科 俊郎 氏
16:30  招待講演
       核融合研究の歴史と若人への夢
         名古屋大学 名誉教授          山 本 賢三 氏

       『懇親会』  札幌ファクトリー ビアケラー

7月21日(金)
  『炉に向けての展望と課題』
 9:00  トカマク核融合炉の現状と未来
         日本原子力研究所 那珂研究所      飛 田 健次 氏
10:00  LHD実験の現状
         核融合科学研究所            武 藤  敬 氏
11:00  慣性核融合炉の現状と未来
         大阪大学レーザー核融合研究センター   西 原 功修 氏
12:00  炉工学関係よりの指摘と総合討論

 午後      北海道大学関連施設見学(希望者)

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第16回「核融合炉」夏期セミナー報告書

と き: 2000年7月19日(水)〜21日(金)
ところ: 北海道大学 学術交流会館 (011-706-2141)
     札幌市北区北8条西5丁目
担 当: 北海道大学

 本年の「核融合炉」夏期セミナー(主催:日本原子力学会核融合 工学部会)は、7月19日から21日まで、北海道が医学で開催された。参加者は講 師、幹事、現地スタッフを含め、大学院生を中心に大学・研究機関等から110名の 参加があった。今回のテーマは「核融合研究−過去・現在・未来のブレークスルー」 とし、15名の講師の先生方から講演を頂いた。

 1.テーマ: 「核融合研究−過去・現在・未来のブレークスル ー」
 趣旨:2000年紀が始まり、環境に優しいエネルギー資源とし てその実用化が
    期待されている核融合は、半世紀に亘り、幾多の課題を克 服し、確実に
    研究の果実を実らせ、臨界プラズマ条件を達成するまでに 進んでいる。
    しかし巨大システムとしての核融合の実現には、最先端の 科学技術が
    求められており、エネルギー源として実用化するには、更 に克服すべき
    課題が残されている。
     今回の夏期セミナーでは、これまでの核融合研究の歴史 を振り返る中で、
    先人の成し得たブレークスルーを明らかにすることを主眼 とし、
    初心者にも理解できるよう、プラズマ・核融合の基礎講義 から始め、
    現在の核融合研究の最先端までを取り上げる。
     科学・技術への夢をかき立て、若手研究者に託される課 題、
    期待されるブレークスルーに言及してみたい。

 2.開催要領(第16回案内参照)

 3.プラグラム(第16回プログラム参照)
 
 4.参加者数 110名(学生76名)

 5.収支決算報告書(省略)

 6.参加者名簿(省略)

 7.セミナーの概要(詳細はこちら。 学会誌10月号に掲載。)

 8.テキスト(省略)

−以上−
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7.セミナーの概要(学会誌10月号に掲載)

 本年度の原子力学会核融合工学部会主催第16回「核融合炉」夏 期セミナーは7月19日(水)から21日(金)まで、北海道大学学術交流会館(札 幌市北区北海道大学内)で開催された。全国の大学院生を中心に、大学・研究機関の 講師、座長の先生方110名の参加があり、3日間の会期中丁寧なご講演と,熱心な 聴講が続いた。
 今回はテーマを「核融合研究−過去・現在・未来のブレークスルー」として、 15名の講師の先生方から講演を頂いた。また、若手ナイトセッションでは北海道の 青空の下、屋外にOHPとスクリーンを持ち出し全国から集まった大学院生に研究室の 紹介をして頂いた。大学院生並びに若手研究者でビールを飲みながら始まった会合で あったが、並行して開催された部会運営委員会を終えた委員の先生方も集まり翌日の 懇親会に勝る盛会であった。最終日には正式に若手による研究室紹介を実施した。運 営面では昨年に引き続きインターネットを利用しての参加登録を継承し、ほぼネット 上で連絡可能となった。またセミナーに関する情報を流す手段として本学会の電子メ ールによる情報配信サービスを大いに活用させて頂いた。

セミナーの概要
[第1日] 核融合研究の『原理と現状』と題して、トカマク型、 ヘリカル型、レーザー慣性核融合について、二宮氏(原研)、小森氏(核融合科学 研)、西村氏(阪大レーザー研)の御三方からご講演頂いた。それぞれの炉型につい てその原理を最新の研究成果を交えて平易に解説して頂くとともに、世界的な研究動 向や世界における日本の核融合研究の位置づけなども紹介された。夕方には野外バー ベキューを囲んで若手ナイトセッションが開催された。北は北大から南は九大まで全 国8大学14研究室の代表がそれぞれの研究室紹介を行うとともに親睦を深めた。
[第2日] 前半は『炉工学の体系化と課題』と題して核融合工学 の諸分野における現状と課題についてご講演を頂いた。まず、西川氏(阪大)から 「ダイバータ工学」と題し、高熱負荷にさらされるダイバータの除熱方法について解 説を頂いた。高木氏(京大)からは「水素透過挙動」という題で材料中のトリチウム 挙動に関する解説をして頂いた。嶋田氏(東工大)からは「電力システムから見た核 融合炉」と題して核融合炉用電力技術の民間への波及効果等について平易な解説を頂 いた。阿部氏(東北大)からは「JUPITER計画による炉材料研究」と題して、核融合 構造材料の中性子照射効果に関する研究の進展について解説を頂いた。吉田氏(九 大)からは「プラズマ実験装置でのPWI」と題してTRIAM-Iを用いた実験研究と研究室 での実験研究が相補的に進展する様子を興味深く解説頂いた。田中氏(東大)からは 「ブランケット工学/トリチウム工学」と題して核融合炉の炉心を構成するブランケ ットの構造や新しい概念について平易な解説を頂いた。
 2日目の後半は核融合の『歴史と夢』と題し、斯界の3人の先達 をお招きして、「北大における黎明期の核融合研究」と題して小澤保知氏(北海道大 学名誉教授)、「真空表面の基礎研究から核融合研究に入り25年」と題して山科俊 郎氏(北海道大学名誉教授)、「核融合研究の歴史と若人への夢」と題して山本賢三 氏(名古屋大学名誉教授)から、我が国のみならず世界のこれまでの研究の推移、研 究の苦労話や夢を語って頂いた。ご退官後も、なお研究にかける夢を熱っぽく語られ る御三人の言葉はセミナーに参加した研究者に深い感銘を与えた。
[第3日] 最終日は若手研究者による『研究室紹介』として各大 学の核融合研究の現状を伺った。ついで『炉に向けての展望と課題』として、飛田氏 (原研)、武藤氏(核融合科学研)、西原氏(阪大レーザー研)からそれぞれ「トカ マク核融合炉の現状と未来」、「LHD実験の現状」、「慣性核融合炉の現状と未来」 と題して、最新の実験成果を解説頂くとともにトカマク、LHD、レーザー核融合の 将来について語って頂いた(なお、西原氏のご講演はご都合で予定を変更して2日目 に実施した)。また、終了後、希望者に対して北海道大学関連施設の見学会を実施し た。

セミナーの印象
 環境に優しいエネルギー資源として期待されている核融合が、真 に実用化を迎える2000年紀の新たな一歩を踏み出す年に夏期セミナーを開催でき たことは大きな喜びでありました。
 核融合研究は初の核融合反応から数えて70年、最初の核融合実 験装置が作られてからでも50年に達する歴史を持ち、他の研究に比べようのない長 い研究期間を要して進められ、この間幾多の課題を克服し、臨界プラズマ条件を達成 しました。しかしエネルギー源として実用化するには、更に克服すべき最先端の科学 技術、課題が多く残されています。本年の夏期セミナーではテーマ「核融合研究−過 去・現在・未来のブレークスルー」を通じて、初心者にも理解できるよう、プラズマ ・核融合の基礎講義から始め、現在の核融合研究の最先端までを講義して頂きまし た。先人の成し得たブレークスルーを切り口として原理と世界の現状並びに今後の展 望を、幾多の困難な課題を自ら克服してこられた先生方、現在世界を指導しておられ る先生方にご講義頂きました。特に特別講演では豊かな経験を踏まえて核融合研究の 歴史とブレークスルーのお話しを伺う機会が得られました。若手研究者による研究室 紹介では核融合研究に寄せる若々しい熱意が伺えました。核融合炉工学研究と炉心プ ラズマ研究、それを支えた技術に関する講義を融合した今回の夏期セミナーが、核融 合の実用化を自らのものとして体験されるであろう若手研究者の科学・技術への夢を かき立て、新たなブレークスルーに向かって、意欲を湧かす一助になったとすれば開 催者として幸せに存じます。
 最後に、講演をご快諾いただいた講師の先生方にはご多忙中にも 係わらず、短期間にテキストを作成頂いた上、当日は手弁当で遠方よりお越し頂きま した。心から感謝申し上げます。また、当初から御助言や御協力いただいた関係各位 とりわけ、部会委員をはじめとする学会事務局、北海道大学の皆様にあらためて御礼 申し上げます。
(文責北海道大学工学研究科榎戸武揚、2000年8月25日記)

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