平成24年10月17日
第6回 マスメディアとの交流会議事録
平成24年度初めての「マスメディアとの交流会」(通算第6回)を、社会・環境部会と関東甲越支部のフェローとの共催で、次のとおり開催しました。
1.日時:平成24年9月28日(金) 17:50〜19:20
2.場所:日本原子力学会 会議室
3.議題:「LHCでHiggsを探す」
講師: 高エネルギー加速器研究機構 素粒子原子核研究所
副所長
教授 徳宿 克夫 先生
4.出席者:
(1)マスコミ関係
毎日新聞、日刊工業新聞社、時事通信社、原産新聞 4社 計5名
(2)事務局他 電事連(森田広報部長)、原子力学会(富田次長)、
社会・環境部会(諸葛、久保、黒岩)、フェロー(齋藤、石隈) 計7名
5.配布資料:LHCでHiggsを探す
http://research.kek.jp/people/toku/export/temp/atlas/higgs-20120928.pdf
6.説明内容
(1)原子力学会の社会・環境部会 諸葛宗男会長から勉強会開催の経緯及び開会挨拶があった。
(2)徳宿克夫講師から配布資料を元に、以下の説明があった。
@標準理論
・運動方程式(質量×加速度=力)から、どういう力がどうして出てくるかを知りたいという要求から、力はどう伝わるのかを考え、力を媒介する粒子(ゲージ粒子)がいると考えた。
・素粒子は、大きく2つのタイプに分けられる。物質を構成するフェルミ粒子と、物質同士の間に働く力を伝えるゲージ粒子である。
・宇宙には物理学的に4つの力が働いていると考えられている。重力、電磁力である。それと弱い力と強い力で、これは原子核のレベルで働く力である。ベータ崩壊を起こし、原子の種類を変えるのが弱い力である。一方、原子核の中に陽子や中性子を閉じ込める力が強い力である。
・ 物質は3世代6種類のクォークと6種類のレプトンからできていて、それぞれ3世代ある。
Aどうやってヒッグス粒子を見つけるのか
・ATLAS検出器はCERN(Conseil Europe en pour la Recherche Nucle aire)のLHC
(大型ハドロン衝突型加速器)の実験装置の一つである。
・日本は計138.5億円の加速器建設協力を行っており、高エネルギー加速器研究機構は、LHC衝突点用の超伝導四極磁石を開発製造した。
・2012年7月LHCアトラス実験日本グループはヒッグス粒子思われる新粒子を発見した。
(3)質疑応答
・ヒッグス粒子(効果)の発見に至る素粒子物理学の過程で、ブラウト・アングレール・ヒッグス機構と呼ばれているが、ノーベル賞受賞となると誰が受賞すると予想されるか
・京都における冬のカンファレンスでは、どこまでの成果が報告されるのか
・ヒッグス粒子を特定するための鍵となるのは何か
・日本のJ-PARCでは、同様の実験成果は期待できないのか
など、素粒子物理学の本質に迫る質疑と、まもなく発表されるであろうノーベル賞の受賞候補に関する質問まで、メディアの方との多数の質疑があった。
(4)原子力学会フェロー企画運営委員会 齋藤伸三委員長から閉会の挨拶があった。
以上