北関東支部開催オープンスクール

 

開催日時: 20101023日(土)

開催場所: 日本原子力研究開発機構 那珂核融合研究所

 

1. 概要

 北関東支部主催のオープンスクールを、例年同様に、日本原子力研究開発機構・那珂核融合研究所の施設公開日に合わせて、同研究所内の会場を貸していただき開催した。天候の不安定が心配されたが、開催日は暖かすぎるくらいの好天にめぐまれ、792名という多数の方々の参加をもって大盛況のうちに幕を閉じることができた(写真1)。また、関東甲越支部から6名の方々が、支部間交流の一環としてオープンスクールを見学いただいた。

写真 1 会場の様子

 

2. 出展企画

 各機関からの協力をいただき6つの企画を出展した。来場者の大多数が子供連れの家族であり、子供達と一緒に大人も楽しめるようなクイズや実験と内容も豊富でそれぞれの機関で工夫を凝らしたものであった。

(1) びっくり! エネルギーの大変身!! (エネルギーを考える会 ひまわり&(株)日立製作所エネルギー・環境システム研究所)

   静電気で回る不思議なフランクリンモーター作り、などの工作と、原子力発電でできた電気が家に届くまでをたどるイライラ棒ゲーム、原子炉運転体験などにより楽しく遊びながらも学習となるような体験をしてもらった。

 

(2) あら不思議!色が変わるビーズストラップ作り (原子力機構 核燃料サイクル工学研究所「スイートポテト」)

  @ポスターを使って、紫外線と放射線の関係について説明した。A紫外線が当たると色が変わるビーズを使ったビーズストラップ作り。B放射線測定器“はかるくん”とコンブや肥料などの測定試料を展示し、参加者に自由に測定体験をしてもらった。

 

(3) 熱と圧力を体感しよう!! (原子力機構 那珂核融合研究所)

  真空中にお菓子を入れ袋が膨らむ実演により、気体の性質と熱の効果を実感してもらったり、赤外線カメラを用いたサーモグラフィで手のひらやライターなど様々な温度を大型画面モニターで観察により、温度の分布を目で見て実感してもらった。

 

(4) 原子力発電のしくみ (日本原子力発電())

  アクリル製の原子炉の模型で、容器内の水が沸騰してその蒸気で羽根車が回り、原子力発電の仕組みを見せるデモンストレーションや様々な方法で発電する発電機の実演。また、原子力発電関連のクイズで、遊ぶうちに原子力発電の仕組みを理解してもらった。

 

(5) 空気砲で遊んでみよう! (茨城大学工学部機械工学科 神永・松村研究室)  

  小さな穴を開けた段ボールを勢いよく叩き、その時に穴から勢いよく空気が飛び出す仕組みを使って、遊びながら、普段目に見えない空気の流れを目で確かめて、身近にある化学現象に興味を高めてもらった。また、地盤液状化の簡単な実験やドルフィンジャンプなどで、水や空気が関係する現象に興味を持ってもらった。

 

(6) 液体窒素と超伝導で遊ぼう (東京大学 原子力国際専攻 勝村研究室)

  液体窒素で冷やした超伝導体で磁石を浮上させる実演で、超電導磁石の威力を実感してもらうとともに、液体窒素でカチカチに凍らせたバナナやマシュマロの硬さを体験してもらうことで、極低温での物質の性質に興味を持ってもらった。

 

 例年と同様、子供向けにキャラクターの風船の配布も実施し、子供連れのご家族をたくさん呼び込むことが出来た。一方で、科学実験や体験というオープンスクールの本来ねらいそのものを楽しみにしてくるご家族もあり、また、幅広い年齢のご参加があった。このような活動では、継続と工夫により「科学の面白さ、原子力・放射線・物理・化学の魅力」を伝えることが重要であることがあらためて感じられた。(写真2)

写真2 受付・キャラクター風船配布風景

 

3. アンケート調査

 会場でアンケート調査を行い88件の回答をいただいた。回答者の割合は大人の方が96%、小中高生が1.3%であり、回答は大人がした、という状況であった。男性が33%女性が67%であった。「内容はよくわかりましたか」の問いに対して「わかりやすかった」が76%、また、「教え方はどうでしたか」に対しては「ていねいだった」が97%と好評で、これもひとえに出展に協力して下さった講師の方々のご尽力の賜物である。「このオープンスクールに参加して原子力についての考えが変わりましたか」に対して「良い印象に変わった」が81%、「原子力についてもっと知りたいと思いますか」に対して「もっと知りたい」が80%と、オープンスクールという実践的なふれあいの場が、一般の人々に原子力を理解し興味を持っていただく上でも非常に有効な役割を果たしていることを物語っている。

 

4. おわりに

 昨年同様、会場で遊んだ後風船を渡すようにしたので、参加の皆さんは各コーナーの実験や体験に集中できたようであった。開場2時間ほどは場内が親子連れで溢れてんてこ舞いだったが、たくさんの方においでいただき展示する側も楽しむことができた。最後になりますが、お忙しい中で出展にご協力下さいました関係者の方々に深くお礼申し上げます。


平成21年度オープンスクールアンケート調査結果

 

 今回の企画に足を運んでいただいた参加者に、オープンスクールの感想についてアンケートへの協力をお願いした。参加者数は792名と昨年の837名から若干減少している。回答数は88件で、昨年度の240件から大きく減少しており、アンケートの願いと回収の声かけに心がける必要がありそうである。

 オープンスクールの目的は、原子力の普及や、そのために取り組んでいる我々の活動について地域の理解を得ることだと考えている。アンケートの結果からは、

        企画の内容について; わかりやすかった(76%

        参加しておもしろかったか; おもしろかった(99%

        原子力についてもっと知りたいと思うか; もっと知りたい(80%

などの感想が得られ、オープンスクールの目的を果たすと共に、原子力やエネルギー問題についての啓蒙活動の一助になったものと考える。

以下に集計結果を示す。