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AESJ-NEWS 【ポピーと桜―日英和解を紡ぐには】学術フォーラム「多価値化の世紀と原子力」第二期第3回開催案
=== AESJ NEWS 日本原子力学会ニュース=====================

学術フォーラム「多価値化の世紀と原子力」第二期第3回開催案内
              記

○開催日時:2009年8月27日(木曜日)
○開催場所:東工大蔵前会館 2F大会議室
http://www.somuka.titech.ac.jp/ttf/index.html
場所は、東急大岡山駅前のタクシー乗り場の道路を隔てた向こう側です。
1階には「Excelsior Cafe」があります(カフェの隣に入り口があります)。

※※ 大会議室は、駅から建物に向かって左袖の2Fで、下記のフロアマップのdです。
http://www.somuka.titech.ac.jp/ttf/pdf/floormap.pdf

○プログラム:

 15:30−16:30 講演
 講演題目:「ポピーと桜 −第二次世界大戦における日英の傷は癒されたのかー」 
 講   師:小菅信子(山梨学院大学法学部教授、近現代史/国際関係論)

 休憩10分

 16:40−17:30 質疑・討論

 ☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

○参加費
  講演会:¥1,000(会場使用料に充てさせて頂きます。学生は無料)
暑気払い&懇親会(18:00−19:30)¥3,000(学割あり@¥1,000)
 
○参加申し込み: 氏名、所属、電話、電子メールアドレスを下記までメールでお送り
ください。

  参加申し込み先: tetsuo@nr.titech.ac.jp

■小菅信子(こすげ・のぶこ)氏略歴■
1960年生 上智大学大学院文学研究科史学専攻博士課程修了満期退学、ケンブリッジ
大学国際研究センター客員研究員を経て、山梨学院大学法学部教授。
著書:
「戦争の記憶と捕虜問題」(東大出版会、2003)
「戦争和解」(中公新書、2005・・・石橋 湛山賞)
「ポピーと桜」(岩波書店、2008)

※ポピーの意味合い:
伝統的に、第一次および第二次世界大戦とその後のフォークランド紛争や湾岸戦争で
亡くなった軍人を追悼して「戦没者追悼記念日」(Remembrance Day)にポピー(ケシ)の
花を身につけます。
詳しくは⇒http://ukinjapan.fco.gov.uk/ja/about-uk/customs-traditions/remembrance-day

○補足説明:(なぜ日英和解と原子力が関係するのか?)
 英国のケンブリッジ郷土連隊は第二次世界大戦に参戦し、全員が日本軍の捕虜にな
りました。4人に一人が帰郷できず、運良く帰郷した者も戦後50年以上に亘って後遺症
に苦しめられています。3年半の間収容所において日本兵から筆舌につくせないような
酷い仕打ちを受けた。
 そのような元捕虜のなかには、日本人とは死ぬまで口をきかないと心に誓っている
人々が少なからずいる。また、ケンブリッジの街中で楽しむ日本人観光客を見て、収
容所時代の記憶がよみがえって、いきなり殴り掛かりそうになったその右手を左手で
押さえ込んで家路を急いだ老人がいる。
 かたや、ケンブリッジに住むある日本の老人は「オマエ達捕虜は人殺しだ!」といっ
て怒鳴りつけて来たという。この老人の家族は長崎の原爆で死んだ。あと数週間終戦
が遅れていて連合軍が進攻してくれば、捕虜は皆殺しにされるはずだった。彼ら捕虜
は原爆投下で終戦が早まったことで命が救われ、代わりにこの老人は原爆で家族を失っ
た。だから英国捕虜を『人殺し!』と罵る。
 こういったまるで輪廻のような敵意や誤解の輪はなかなか容易なことでは解きほぐ
せない。そこに挑まれたのが今回の講師の小菅さんなのです。
もつれた心の糸は、なにも戦争や原爆だけでなく、われわれの身近にあるのではない
でしょうか。原子力への賛成−反対にもそういう側面があるように思います。原子力発
電の誘致時に町や村を二分する事態に懊悩した立地地域は少なくない。
 二度と口をきくまいと心に誓い、憎める限り貪るようにジャップを憎みぬいてきた
ひとりの老人に孫が出来た。孫を抱いた時、「お前はこの赤ん坊に、この子と同じよ
うな日本の赤ちゃんを憎ませたいのか?」と、はじめて自分の憎悪に疑問をもったとい
います。
 多くの元捕虜は、自分の体験したことを語りたがらないようです。自らの心の傷を
えぐり出すことは自分のみならず、聞き手の心にも外傷的ストレスを与えかねないか
ら。しかしそういう彼らも若い世代の日本人になら語れる、話さなければいけないと
いう思いを持つようになっていったといいます。
 このように英国の捕虜問題は、ケンブリッジの位置するイースト・アングリア地方
では特にデリケートな問題とされています。元捕虜達は戦後長く沈黙を保ってきまし
たが、今では多数の自伝的著書が出回っており、英国で書かれた日本についての他の
どんな著作よりもその数は多いと言われています。一方、日本人はそのことをほとん
ど知らない。ここに情報と認識の非対称性が存在します。対日戦勝記念日には今でも
多くの特集番組がテレビで放映されているそうです。そのなかで強調されるのは、日
本人のこの問題に対する認識があまりにも低く、そのことをもって精神的にいまだに
稚拙であり成熟できていないというものです。その点においては、ドイツに対する見
方と大きな違いがあるのです。

和解というのは容易くできることではないですが、そこに至にはある種のメカニズム
があるようです。また、最初にするべきは相手の話を聞いて理解しようとすることだ
といいます。
小菅さんは研究で滞在したケンブリッジで、あることが切っ掛けでこの日英和解とい
う重い課題に引き込まれていかれたそうです。1997年のことです。

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学術フォーラムコーディネータ代表
澤田哲生
東京工業大学
原子炉工学研究所
電話:03−5734−3062
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