9月17日 11:00〜12:00 #J 講演概要
世界の次世代炉研究開発と国際協力の進展
Next Generation Reactor
R&D and International Cooperation Development
IAE 松井 一秋
MATSUI KAZUAKI
キーワード:第4世代原子力(Generation-IV)、第4世代国際フォーラム(GIF)
1.
緒言
低廉かつ無尽蔵のエネルギーを人類が手に入れるのだとしたアトムス・フォア・ピースから50年が過ぎた。幻想だったのだろうか?今や世界のエネルギーの約7%を電気の17%を約440基の原子力発電でまかなうまでにはなっている。しかし夢の原子炉たる高速増殖炉や核燃料サイクルのリサイクルの実用化にめどが立っているわけではなく、経済性や核拡散の観点からもその必要性に疑問符が投げかけられているのが現実であろう。
21世紀にマッチングしたパラダイムが新たな原子力技術開発には求められるゆえんである。
2.第4世代原子力技術開発の意味と展望
原子力発電技術の進化と発展、第4世代原子力技術とは?
第4世代国際フォーラムの設立
第4世代原子力技術開発ロードマップ策定の組織
第4世代原子力の目標
第4世代候補の選択評価基準
どのようなシステムが求められるのか?
どのシステムが利用可能か?
第4世代原子力、六つの候補
超高温ガス炉、 Very
High Temperature Gas-Cooled Reactor; VHTR
ガス冷却高速炉、 Gas-Cooled
Fast Reactor; GFR
超臨界圧水冷却炉 Super
Critical Water Reactor; SCWR
ナトリウム冷却高速炉 Sodium-Cooled
Fast Reactor; SFR
鉛冷却高速炉 Lead-Cooled
Fast Reactor
溶融塩炉 Molten
Salt-Cooled Reactor
米国の計画、戦略
国内での議論
総合資源エネルギー調査会原子力部会、平成13年7月
原子力委員会研究開発専門委員会革新炉検討会
原子力技術開発の課題
•長期的、安定的なエネルギー供給、地球環境問題から原子力エネルギー利用への回帰はあるのか?
•本質的には持続可能なエネルギーミックスの重要な構成員、「切り札」
•経済的並びに社会的、政治的な障害
–新規プラントの経済的競争力;大型投資へのためらい
–放射性廃棄物処分
–安全性と核拡散抵抗性(対テロ!)
–原子力界への不信感(東電ショック、美浜事故)
•原子力技術研究開発に対する公的支援の規模は縮小しかつ基礎的、基盤的な支援へ変質
•電力市場自由化の圧力の影響
•エネルギーセキュリティ?
•京都議定書! CDMからは蹴落とされている
疑問
•
革新炉、次世代炉とは高速増殖炉ではないのか?
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高速炉が必要というパラダイムは生きているのか?
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高転換、低減速炉など中間炉の意味はあるのか?
•
絶対、超安全の小型炉か?
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どこに市場があるのか(Potential market)?
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電力自由化の中で誰が開発費を持つのか?
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原子力は人々に受け入れられる様になるのか?
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ますます過剰となる規制は緩和されるのか?
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原子力村は自己批判したのか?
挑戦
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エネルギー供給セキュリティの確保を超えて、国際的なエネルギー技術覇権
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国際的なパートナーシップ、オプションシェアリングによる研究開発→例;Gen
IV
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市場メカニズムの活用と公的なリーダーシップ(2法人統合: 新しい皮袋?)
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長期的なエネルギーならびに科学技術戦略に基づく原子力技術開発(新長計)
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原子力水素→輸送用エネルギーへの拡大展開
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危機(東電トラブル隠し、もんじゅ設置許可無効判決、美浜事故)をチャンスに転換できるか?
•
わが国の原子力技術開発能力と資源、潜在的可能性は世界最大
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ABWRなどに代表される軽水炉技術
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高速炉; JSFR(JNC)、4S、LSPRなど
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高温ガス炉; HTTR(JAERI)、水素製造
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超臨界圧炉(岡/東大)
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低減速水炉(JAERIほか)
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先進再処理(フッ化物揮発法、超臨界圧利用他)
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21世紀COEプログラム「世界の持続的発展と革新的原子力」;東京工業大学
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原子力大学院;東京大学
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これらを活かして、持続可能な地球社会に貢献する、国際的な産業競争力の強化
3.結言
世界で通用する原子力技術が求められている。社会が、世界が変わるのを待つのではなく、新しいパラダイムを創生する革新技術が求められている。自らの殻を破り、持てる潜在能力を活かして国際プロジェクトをリードしていく、今こそチャンス到来ではないのか?