海外情報連絡会 平成16年度 第1回講演会 要旨
Nuclear Power and the Environment
James S. Tulenco 氏 (米国原子力学会副会長)
(1)豊富なエネルギーは、文明の糧であり、経済を動かし、生活の質を動かし、
人をクリエイティブにする
(2)2002年の世界の原子力状況
・ 441ヶ所の原子力発電所が運転中で2574TWhを発電。
・ 6ヶ所の新規発電所(5013MWe)が運転を開始。
・ 7ヶ所が新規建設中。
(3)世界のエネルギー消費
・ 2001年でエネルギー消費量は404×1015 Btu。
・ 今後も伸び続け2025年での予測は640×1015 Btu。
・ 天然ガス、石炭、石油の需要は今後も伸び、再生可能エネルギーは漸増、
原子力はほぼ横ばい状態。
・ 石油は、今後もペルシャ湾に依存し続ける。
(4)CO2排出
・ 化石燃料によるCO2排出量も伸び続け、2025年には現在の1.7倍程度になると予測。
・ 過去40万年の気温とCO2との関連データから、CO2濃度は約100ppm変動し、
気温は約10℃変動していることが分かっている。
・ 最近40年ではCO2濃度が約40ppm上昇し、気温が約0.5℃上昇している。気候も変動している。
(5)アメリカのエネルギー
・ 2001年でエネルギー消費量は、約100×1015 Btu。
・ 今後も伸び続け2025年での予測消費量は、約140×1015 Btu。
・ 電力消費は、同様に3800億kWhから約6000億kWhに増加するが、
燃料構成は石炭と天然ガスが増加し、原子力と再生可能エネルギーは横ばい。
(5)電力製造には下記の外部コストを考慮に入れなければならない
・ 損害コスト:騒音、健康、資源、作物
・ 回避コスト:生態系、地球温暖化
(6)Emergy解析法
・ フロリダ大学では、Howard T.Odum により開発されたEmergy 解析法により、
エネルギー生産について各々のエネルギー形態による環境・社会・経済コストを
全レンジで一貫的に評価する研究を実施。
・ 1000MWeの発電所について、建設、運転、保守、廃止措置等でかかる
エネルギーコスト、環境コスト等を評価。
(7)Emergy 解析法の評価項目
@ 研究と規制
A 建設
B 材料
C 材料にかかる燃料
D 建設用品とサービスにかかる燃料
E 燃料サイクル:採掘、精練、転換、濃縮、廃棄物処理
F 運転と保守
G デコミ
H 事故リスクに対するEmergy Charge
(8)解析結果
・ 原子力発電:8.45、石炭:2.5、太陽光:0.48、風力:0.25。
・ 太陽光等は設計が進み効率が上がり点数は良くなってくるが、
原子力は広いマージンを持って他のエネルギー源を凌いでいる。
(9)結論
・ 原子力は、先入観なく分析してたの全てのエネルギー形態と比較して環境に優しい。
・ 原子力は、環境のより良い隣人となるよう努力している。
・ 我々は、原子力の環境ストーリーについて語る必要がある。