海外情報連絡会 平成15年度 第1回講演会 要旨

フランス原子力事情

FANP J. J. Lavigne氏

 
1.フランス原子力の歴史

70年代の第一次石油ショック後、ポンピドー、ジスカールデスタン大統領は原子力計画を推進。
1997年時点で原子力は総発電量の78%。電気料金は低減(1997年は1986年の76%)。

2.国民の理解

原子力発電所は身近な施設。夏休みの行楽地への街道沿いにある発電所の冷却塔にはバカンスで遊ぶ子供の絵が描かれている。パリから90kmの近距離にも発電所がある。1990年から2001年にかけて発生した事象は国際規格に基づくとレベル2以下で、殆どレベル1。発電コストの安価と雇用(13万人)の点でも理解を得ている。

3.現状

原子力発電所は温暖化防止に寄与。1960年にフランスは炭素排出量(国民一人あたり)はイタリアの3倍近かったが、1986年以降はイタリアよりも少ない。欧州でもトップレベル。
電気を国外へ輸出している。
フランスは政府が原子力の推進に前向き。

4.MOX

核燃料サイクル戦略として、

・再処理する燃料の量は再処理工場の処理能力
・分離したPuをMOXとして900MW軽水炉で再利用
・将来的には高速炉でMOX利用
・1987年以来、90万KW級PWR20基のMOX装荷(30年以上の運転経験)

5.廃棄物の問題

1991年法律に基づき、2006年に研究成果に基づいて高レベル廃棄物処理・処分の法制化を予定。地下研究所の建設をしているが遅れ気味。

6.原子力の将来

今後、現在運転中の発電所の寿命を迎え、順次建て替えを期待。建て替えは大容量プラントを想定。なお、Pu蓄積に対してMOX装荷割合の上昇、マルチリサイクル、高速炉へと希望。

7.日仏協力

日仏協力の歴史は古い。1972年に協定調印、1990年に改定。
行政、研究開発、企業の各レベルで協力を行ってきている。

8.むすび

原子力は経済性の高い価値あるエネルギー源であり、今後も安定経済において重要な役割を演じる。公衆の要求する透明性に留意して、新しいチャレンジに向かうべき。