海外情報連絡会 平成14年度 第2回講演会 要旨

カナダにおける原子力の状況
(Nuclear Energy in Canada)

AECL R.D. Gadsby 氏

 

カナダの原子力事情について講演が行われた。

1.カナダの原子力産業界の現状

  原子力産業は60年を経て、150社従業員3万人、年間60億ドルの規模である。オンタリオ州の電力はCANDU炉で約50%が賄われている。35年間被爆事故もなく、温暖化ガスを100Mt/年抑制できた。また、世界最大のウラン輸出国であり、医療用アイソトープの最大輸出国でもある。コバルト60による癌治療の発明もある。
 AECLは、従業員4000名、年間600〜800M$の事業規模で、原子力の研究開発と国の国際協力のサポートなどを行っている。


2.CANDU炉

 CANDU炉は、カナダで12基、アルゼンチン1基、ルーマニア2基、韓国4基、中国2基、インド2基、パキスタン1基が運転中である。韓国のWolsong発電所、ルーマニアのCemavoda発電所、アルゼンチンのEmbalse発電所では高稼働率を続けている。AECLは、設計、交換部品の調達、特殊定検の分野でサービスを提供している。
 現在、カナダ、インド、パキスタン、アルゼンチン、韓国、ルーマニア、中国でCANDU炉を建設中である。
 1997年2月12日にCNNCとTQNPCとCANDU6炉2基の設計、調達、建設を契約しており、2003年の2月12日と11月12日に完成予定である。
 CANDU炉は1945年以来、右図のように燃料、建設、稼働率、保守性の向上を順次行い、現在は次世代型CANDU炉の開発を行っている。次世代型CANDUでは、出力密度の増加により炉心体積をCANDU6の1/2.5まで小さくしており、冷却材に軽水を利用することで重水の総量低減を果たす。建設のモジュール化、燃料サイクルの柔軟性の向上などの特徴を有する。


3.DUPIC(Direct Use of Spent PWR Fuel in CANDU)

PWRの使用済み燃料を乾式処理でリサイクルが可能であり、核分裂性物質の分離などが無いために核不拡散性も高い。AECL、KAERI、IS、IAEAの共同研究を実施している。


4.廃棄物処理

 AECLは、極低レベル、低レベル、高レベルの廃棄物の永久処分を進めて いる。処分方法は右図のように4ステップで行われる。


5.CANDU炉のMOX利用

CANDU炉での核解体プルトニウムの活用などでG8に協力することを目的 として、CANDUでのMOX試験を国際協力で行っている(Parallex)。