海外情報連絡会 平成14年度 第1回講演会 要旨

中国の経済・エネルギー状況

日本原子力産業会議  永崎 隆雄 氏

 
1.中国の経済発展状況

 中国は現在、高い経済成長を続け、GDPは米国、日本、ドイツ、フランス、イギリス、イタリアに次ぐ世界第7位の国になった。
 経済の特徴は次の通り。
  @先進国と比べ第2次産業比率が高い。
  A都市化(工業化や第3次産業化)が遅れている。
  B国民1人当たり消費は先進国よりはるかに低レベル。
  C世界一の市場。人口12.7億人(日本の10倍)。

2.中国のエネルギー情勢評価

 中国のエネルギー資源量は豊富。特に石炭、石油は確認可採埋蔵量が世界1〜2位。総生産量は世界の約1割を占める。
 石油や天然ガスはまだまだ未発見埋蔵量が多いと評価されており、石油は現状の5倍、天然ガスは現状の10〜20倍は存在すると推定。
 中国のエネルギー生産は、右図に示すように総計10.9億d標準炭(2000年)のうち、石炭が主力(67%)で、それに続いて石油(21%)、水力(8%)、天然ガス(3.4%)、原子力(1.2%)であり、エネルギー開発方針は以下の通り。
  @開発と省エネ双方重視 
  A電力中心
  B石炭基盤
  C原発適度増設・再生エネルギー発展重視

3.中国の原子力状況と今後の計画

(1)中国の原子力の位置付け
 1)石炭過度依存体質の改善、沿海経済発展地のエネルギー確保と環境保護
 2)電力や国内機械工業や先進ハイテク産業の発展、国産化
 3)総合国力の強化(エネルギー、経済、脱軍事民間転用と国家核能力の維持)
 4)炉型発展路線:軽水炉(加圧水型炉PWR)→高速増殖炉(FBR)→核融合炉

(2)今後の計画
 第10次5ヵ年計画(01年〜05年)では、原発は適切に増設の方針。国産化(75%)を重視。
 政府首脳は自国の石炭と水力を重視し、原子力は既設の拡張(大亜湾V期等)が適切としている。
 現在、有力視されているのは、大亜湾(仏型CGP1000)、陽江(仏型CGP1000)、海陽(WHスペイン型PWR?又はCNP1000)で、4基程度が有力である。

(3)新型炉開発
1)中国高速実験炉の概要
 北京郊外の原子能科学研究院で2000年5月に正式着工。05年臨界を目指している。
 タンク型(日本はループ型)、熱出力6.5万kW,電気出力2万kW。
 建設費160百万j(約190億円)、職員数:280(設計180、管理100)人。
 燃料仕様:全Pu141kg(Pu239;68.5kg)、U235;92.3kg(濃縮度36%)。
2)高温ガス炉
 ドイツの技術による1万kWの高温ガス実験炉(北京市郊外の清華大学)が、2001年12月に臨界。
 輸入部品に不具合。取替え後、Heガスでの、出力UPの予定。
3)低温熱供給炉
 1989年、5MWの低温熱供給炉が清華大学(INET)で建設、試験されてきた。
 瀋陽市、200MW×2基設置計画を発表。