海外情報連絡会 平成13年度 第5回講演会 概要
Strategies and Issues of the Back-end of the Nuclear Fuel Cycle
前CEA 研究開発部長 Massimo Salvatores 氏
1.CEAの概要
・2000年9月に改組され、4つの部門から構成されている。人員は1万5〜6千人。
・それらは、原子力エネルギー関連R&D部門(DEN:35%(staff比率)),国防部門(DAM:33%),基礎研究部門(DSM,DSV:17%),産業用技術研究部門(DRT:15%)である。
・講演者の所属するDENは、Saclay,Valrho,Cadaracheの3研究所と5つのプログラム統括部門を有し、4,900人のスタッフと7.8億ユーロの予算で運営されている。
・講演者は現在、プログラム統括部門の1つであるDDIN(Nuclear Development & Innovation:P.Bernard(Director))のAdvisorである。
2.核燃料サイクルのバックエンドに対する戦略
・現在の重要な課題はプルトニウム余剰の管理であり、産業として動いている再処理の継続により生ずるプルトニウムをどう利用するかを考える点にある。
・PWRでのMOXのリサイクルは、燃料製造からの許容富化度(〜12%)以下の範囲では、2〜3回に制限されてしまうが、濃縮ウランの集合体(17×17型)内にプルトニウム燃料棒を1/3〜1/2程度混ぜる集合体概念であるCORAILやAPAを用いることにより克服することが可能である。
・MAの消滅に関しては、ガラス固化或いは分離/消滅が可能な選択肢である。
・プルトニウムとMAの分離/消滅に関しては、それらを一緒に取り扱う方法と、プルトニウムとMAを別々に取り扱う方法が考えられる。
・前者については、高速炉の中でリサイクルするHomogeneous recyclingが考えられ、後者については、それぞれを個別に取り扱う2階層方式("Double strata")が考えられるが、MAによる燃料製造工程に与える影響を評価すると、前者は問題が多く、また後者のMA消滅システムの候補としては、加速器駆動未臨界システム(ADS)が唯一のものと考えられる。
・これらの研究のために、MASURCA施設におけるMUSE実験やMEGAPIEプロジェクトが進められ、また、今年末に再開されるPhenixにおいて実験が行われる計画である。
・さらに、将来的には、持続可能な原子力エネルギー開発と放射性廃棄物の長期的管理の観点からの高速炉の有用性に鑑み、ガス冷却高速炉の開発を国際的な協力の下に進めて行くべきであると考え、研究を開始している。