「原子力・放射線部門」技術士試験の受験のすすめ | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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技術士制度は、高い職業倫理を備え、十分な知識、経験を有し、責任をもって業務を遂行できる技術者としての能力を保証する資格であり、また、優秀な技術者の育成上の重要な機能を有するものです。ここ数年、国際的に整合性のとれた制度に改善する取り組みがなされ、また平成16
年度の試験から「原子力・放射線部門」が新設されました。 原子力の分野においては、近年のトラブル、不祥事の発生と社会環境の変化に伴い、これまでの国や組織としての安全性等の担保にあわせて、技術者一人一人が組織の論理に埋没せず、常に社会や技術のあるべき姿を認識し、意識や技術を常に向上させていく仕組みが必要不可欠と認識されています。社会から信頼される個人としての技術者の存在が必要であるとの考えから、「技術士」資格の中に、「原子力・放射線」部門が新設されたものです。
日本原子力学会の倫理規程
にも示されていますように、会員の守るべき憲章はまさに原子力・放射線部門技術士制度の目指すものと符合しており、会員の皆様には、技術士試験に積極的にチャレンジし、社会から信頼される公的資格を取得されることをお勧めするものです。 技術士及び技術士試験の概要を以下に示します。詳細は、日本技術士会のホームページ や、末尾に示した参考資料を参照してください。
なお、平成18
年度技術士一次試験の日程を下記に示します。
技術士には、「原子力・放射線」のほかに、機械、電気電子、化学、建設など全部で21部門があり、1958
年(昭和33
年)の制度創設以来、技術士試験に合格した者は2006
年(平成18
年)3
月時点では75,597
名で、実際に技術士として登録した者は66,200
名である。米国のプロフェッショナル・エンジニア(約41
万人)や英国のチャータード・エンジニア(約20
万人)等の欧米の先進主要国に比べ、格段に少ない。経済社会のグローバリゼーションに伴う技術者資格の国際相互承認が具体化される状況下で技術士の数が増大する事は、科学技術創造立国を目指す我が国として重要である。 「原子力・放射線部門」の設立
原子力・放射線部門の設立については、平成15 年6 月2 日の科学技術・学術審議会答申「技術士試験における技術部門の見直しについて(答申)」において、次のように位置付けられている。 1)近年の原子力システム関連のトラブル、不祥事の発生と社会環境の変化、事業体と社会とのリスクコミュニケーション等、社会としての受容に必要な業務を推進していくためにも、社会から信頼される個人としての技術者の存在が不可欠である。この新たな仕組みとして、技術者倫理や継続的な能力開発が求められる技術士の資格を取得することが、効果的である。 2)「原子力・放射線技術士」が、社会の要求に答える位置付けを明確にするとともに、原子力システムの安全性確保に果す役割を検討した結果,安全性の向上につながることが期待される。 (ア)原子力技術分野の技術者のレベルアップ 原子力技術分野の技術者が自己研鑽を行うに当たっての具体的目標を設定することにより、個々の技術者の総合的な能力の向上、ひいては技術者が属する事業体の技術水準の向上につながり、原子力システム全般の安全性強化を図ることが可能となる。 (イ)事業体における安全管理体制の強化 現在、技術的事項についての責任は組織としてとる体制になっているが、技術的事項に関する総合的な判断を求められる立場にある者にあっては、原子力・放射線技術士の資格を取得することが望まれる。 具体的な適用例としては、
より、原子力技術に携わる事業体への信頼性の向上につながることが期待される。 (ウ)原子力システムに関する安全規制への活用 検査、審査、企画立案等に携わる国等の行政機関担当者にあっては、原子力・放射線技術士の資格を取得することが望まれる。 (エ)国民とのリスクコミュニケーションの充実 原子力技術に関する高い専門能力と安全、倫理、社会との関わりについての高度な見識を持った原子力・放射線技術士が、リスクコミュニケーションにおいて重要な役割を担うことにより、国民に対する説明責任を果すことが可能となる。 3)国際的な活用 第一次試験 「原子力・放射線」部門で最初の第一次試験は、全国12都市において平成16 年10 月に実施された。平成17 年1 月に第一次試験の合格者が発表され、受験者は559 名で合格者は472 名、合格率が84.4%であった。平成17 年度においては、受験者は304 名で合格者は226 名、合格率が74.3%であった。 第一次試験の試験科目の時間割と概要は以下の通りである。
大学卒、あるいは、原子力主任技術者・放射線取扱主任者・電気主任技術者などの所定の国家資格を保有する者は共通科目を免除されるが、ほぼ1 日がかりの試験である。すべての問題が、5つの選択肢の中から正答を選ぶ方式であり、正答がすでに日本技術士会のホームページ(http://www.engineer.or.jp/)に公表されている。 文部科学省告示によれば、当該専門科目の出題範囲は「原子力、放射線、エネルギー」と規定されている。平成16 年度の「原子力・放射線」部門の専門科目の出題内容は以下のようになっている。 〔原子力関係の設問〕 〔放射線関係の設問〕 〔エネルギー関係の設問〕 まとめると、原子力12 問、放射線12 問、エネルギー6 問であった。平成17 年度においては、35 問のうち25 問を選択するよう選択の幅が若干広げられたが、出題内容は原子力14 問、放射線14 問、エネルギー7 問であり、平成16 年度と同様の比率となっている。したがって、広く原子力・放射線部門の知識が必要である。 計算問題もあるが、簡易な電卓の持ち込みが許されている。 また、基礎科目については科学技術全般にわたる基礎知識として、設計・計画に関するもの、情報・論理に関するもの、解析に関するもの、材料・化学・バイオに関するもの、技術連関に関するものという5つのカテゴリについて、幅広く出題される。 第二次試験 第二次試験は、第一次試験合格後に所定期間の実務経験があれば受験することができる。第二次試験は、筆記試験と口述試験から構成される。なお、口述試験は筆記試験の合格者に対してのみ行われる。 「原子力・放射線」部門で最初の第二次試験は、平成16 年8 月に実施された。平成17 年3 月に第二次試験の合格者が発表され、初代の「原子力・放射線部門」技術士21 名が誕生した。受験者は53 名で合格者は21 名、合格率が39.6%であった。平成17 年度においては、受験者は232 名で合格者は75 名、合格率が32.3%であった。 筆記試験は、当該技術部門の技術士となるのに必要な専門的学識及び高等の専門的応用能力を有するか否かを判定し得るよう、第1 表に示す3 区分の試験が行われる。 必須科目については当該技術部門の技術士として必要な当該「技術部門」全般にわたる一般的専門知識についての設問、選択科目については当該「選択科目」に関する一般的専門知識に関する「選択科目2」、並びに「専門とする事項」に関する専門知識の深さ、技術的体験及び応用能力に関する「選択科目1」の設問が課される。選択科目については記述式、必須科目については記述式および択一式により行われる。 選択科目は、第2 表に示す5つの中から自分の専門とするいずれか1科目を受験申し込みの際に選んで申請し、受験することになる。 第1表 第2次試験の問題の種類
第2表 原子力・放射線部門の第2 次試験選択科目およびその内容 選択科目 選択科目の内容
日本原子力学会の支援活動 日本原子力学会では、平成13 年度に技術士制度に原子力部門を設立するよう文部科学省に要望し、原子力教育・研究特別専門委員会に設けられたCPDワーキンググループが中心となり部門設立の支援活動を行ってきた。 設立決定後は、ホームページやパンフレットでの受験の勧誘、模擬試験問題の作成と採点・評価、一次・二次試験問題の解説記事の寄稿、年会での技術士特別セッションの開催等、原子力・放射線部門の普及、拡大に向けた支援活動を継続している。 日本技術士会「原子力・放射線部門」 平成16 年度に合格した技術士を中心にして、平成17 年4 月20 日に発足準備会合を行い、(社)日本技術士会に原子力・放射線部会を設置することになり、6 月24 日に設立総会を開催した。 原子力・放射線部会では、大きく次の3つの重点項目を中心に活動を進めることが決定された。
これらの項目に対し、制度活用の検討会・講演会や、一次・二次試験問題の解説記事の寄稿、講演会・研修会の開催等を原子力学会他の関係機関と協力・連携しながら推進している。 「原子力・放射線部門」技術士試験の参考資料
X.模擬試験問題1 原子力学会HPに公開(一次及び二次試験の問題と解説) |